🍱 TSNETスクリプト通信を読む

2023/12/23

fess  今から十数年前、私が所属していた TSNET というメーリングリストのグループがあります。 Perl や Awk、そして Ruby のユーザーやハッカーが多数そろった非常にハイレベルのグループでした。 その中で、草創メンバー藤岡さんの呼びかけで 2008 年からネットで無償配布する WEB マガジンの刊行がはじまり、 季刊 18 号までつづきました。


 当時私は多忙で、その雑誌にほとんど目を通せなかったのですが、 ここ数日ざっと読んでみると、今でも古びていない、コードもそのまま使える文章が多いのに驚きました。 今日はそんな私の、特に興味をひかれた文章と、感想を述べてみたいと思います。

やnでレPython(第3号〜)

 機械伯爵さんによる、男子高校生の主人公がやnでレ少女に Python の基礎を教わる話。 Python の基本を十分わかっている著者ならではのポイントをついた解説と、 2人の一触即発の男女関係とが並行して描かれ、 ついに少女の姉にしてライバルまで出てくるという進行はまさに力作。

 ふつうの雑誌にみるような、先生と生徒の対話とは違い、十分小説にもなっています。 これを読むだけでも、TSNET通信を読んだ価値はありそうです。 機械さん、今どうしているのかなあ?

RMagickでカレンダー壁紙を作る(第9号)

カレンダー  ムムリクさんによる、Ruby と Tk で携帯向けのカレンダー待受画面を作る試み。 設定画像のサイズは時代のために小さいが、 スクリプトを修正すれば現在も使えるものになります。

 Ubuntu 22.04 の環境では、今も少し手を入れれば動作しました。 libmagickcore-dev を入れ、gem で rmagick, holiday_japan を入れ、 holiday の代りに holiday_japan を使うだけです。 そこらで配布されているカレンダー画像と遜色ない オリジナルが作れて、位置や色を簡単に修正できる上、 スクリプトのお勉強にもなるすぐれモノです。

点取り虫ゲームRuby/Tk 版(第11号)

 ムムリクさんによる、画面に10x10のマスが現れ、一定のルールでマスを取り合うゲーム。 コンピュータと人間の戦いだが、コンピュータは強くないので、 ちゃんと考えれば勝てるようにできています。

 わずか 400 行で結構いい感じの GUI ゲームができてしまうのは驚きで、 十数年経っても全く無修正で動くのがまた驚きです。

たったひとつの冴えたやりかた(第13号)

 Yささんによる作品ですが、解説のほうが面白いです。 二人ゼロ和有限確定完全情報ゲームにおいて コンピュータがゲームの木を生成して先読みし、 一番いい手をさがすロジックについて解説されています。

 こう書くと引いてしまいそうですが、 ゲームづくりを新たな面からとらえることができるのが興味深いですね。

スクリプトでパズルを可視化する(第14号)

 海鳥さんによるスクリプト。 世界最難度の数独問題を解く Ruby スクリプト。 それを例によって、graphviz によって図化されています。 少し手を加えたら実行可能でした。

$graph = GraphViz::new("G", { :type => "digraph", :use => "dot"})
...
$graph.output( :png => "out.png")

数独  それ以外にも、面白いものは多々ありましたが、こうした原稿を集め、 毎回編集し、国会図書館の書籍番号を入手して発行された藤岡さんのご尽力には 全く頭が下がります。 当時ほとんどお手伝いできなくてごめんなさい。 これらの電子雑誌は下のリンクをたどれば読めます。


参考: TSNETスクリプト通信履歴

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