⛅ オンラインストレージの比較
WEB上にファイルを置き、他のマシンとそれを共有するという意味のクラウドでいうと、Dropbox, MicrosoftのOneDrive, GoogleDrive が最王手です。
Amazonににもストレージはありますが、写真専用なので除きます。
これらのどれを使うべきか、私も十年来悩んできました。
もともとは、LAN上のNAS(ネットワークハードディスク)ですませていたのですが、このLANのファイル共有というのが、Windowsのセキュリティ機能追加のため度々仕様変更されます。 さらに、GoogleDrive などのオンラインストレージ料金がぐんぐん下がってきて、NASを使うのと大差なくなってきています。 オンラインストレージには全文検索や、外出時のデータチェックなど、NASにはできないか苦手なサービスが次々追加されてきました。 外出先からVPNでLANにつなぎ、同様のことはできますが、当然のことながら煩雑で、遅いです。 さて、どうすべきでしょうか。
私は、昔、Dropbox を使っていました。 そのうち、同じようなことができるオープンソースの ownCloud が出たので、インストールしていろいろ試しましたが、ファイルの同期スピードなど Dropbox が断然まさっているため、使用をやめました。 それから、OneDrive を試し、つい最近まで、GoogleDrive で家族や他機とのファイル共有をやっていました。 そうした経験から、現在のオンラインストレージ事情を考えてみようというのがこの記事の目的です。
種類 | 月額料金 | 容量 | 備考 |
---|---|---|---|
Dropbox Basic | 無料 | 2GB | Windows/Linux対応 |
GoogleDrive | 無料 | 15GB | Windows対応 |
Microsoft OneDrive Basic | 無料 | 5GB | Windows対応 |
Dropbox Plus | 1200円 | 2TB | 全文検索・スマートシンク |
GoogleOne | 1300円 | 2TB | 全文検索 |
Microsoft Office365 Personal | 1284円 | 1TB | Office365が使える |
まず、無料版を比べると、Dropboxは容量が少ないもののLinuxに対応しており、GoogleDrive は容量最大とサービス抜群なことがわかります。 有料版については価格、性能は似たようなものであり、Microsoft OneDrive は Office365の付録としての割安をアピールしていることがわかります。 それでは、ここから、これまでの経験による、私個人の使用感や考えを述べたいと思います。
まず、Microsoft の Personal 版 OneDrive ですが、これは、Office の個人アカウントにきわめて密接に関連づけられています。 つまり、単純に1人が家にいたり、外出したりしてファイルをチェックするにはいいのですが、他人とファイルを共有するとなると、とたんに非常に面倒なことになります。 デフォルトで、デスクトップ、ドキュメント、ピクチャーといったフォルダを同期あるいはバックアップすることになっており、下手に中止しようとしてもうまくいかないことがあります。 私は、中止した時、デスクトップの全フォルダ・ファイルが消えて青くなりました。 もちろん、Office365 を使わない OneDrive もあるのですが、100GBで、月額224円、ちょっと中途半端なものになり、躊躇してしまいます。 こうしてみると、現在のところ、Microsoft 社は OneDrive を Office365 普及のための付録扱いしていると考えるべきでしょう。 ただし、その同期スピードは相当なものがあるとは感じます。
つづいて、GoogleDrive(GoogleOne)。 私は、普通 Linux で作業し、家族や仕事先は Windows でこれを参照するという状況にあります。 ここで問題となるのが、Linux 版 Dropbox はあるが、Linux 版 GoogleDrive はない、という点です。 そこで一番手軽な Ubuntu のアクテイビティから GoogleDrive を自動的にマウントする設定を試しました。 家族の Windows には GoogleDrive をふつうにインストールし、各種セットを行いました。 ついで、私がマウントした自機の GoogleDrive にファイルを置いても、それが Windows に反映し、同期されるまで1分以上、下手をすると数十分かかります(ディスク容量2G程度の時点)。 そのつど、ブラウザで GoogleDrive を開けばあるにはあるのですが……Windows機のフォルダになかなか落ちてこないのです。 google-drive-ocamlfuse というパッケージをインストールする方法も試しましたが、やはり同期が遅く、WEB とローカル機のどちらに同期するのかなど、いろいろ問題を感じました。 正直なところ、この設定は安心して使えるとはいえません。
最後に Dropbox で試してみました。 これは簡単で、Linux、Windows ともにサイトから公式アプリをインストールし、同じアカウントをセットすれば終りです。 容量が 2GB しかないので、1GBぶんのファイルだけを置きました。 同期は数分であっというまに終った感じです。 ありがたいことに、自分の Dropbox フォルダにあるファイルを置くと、1秒後くらいに家族の Dropbox にそのファイルが現れます。 しかも、Dropbox の場合同期中のファイルは⭮のようなマークが、同期完了のファイルには✔のマークがつき、一目で状態がわかります(GoogleDriveも同じ)。
私の場合、現時点では、選択肢は Dropbox しかないなと改めて確認した次第です。
ただ、オンラインストレージはサブ的なものにとどめるべきという気持ちは変わらないですね。 本当に重要なファイルをオンラインストレージに置くのは怖いし、全文検索といっても、拡張子 .tex という TeX 文書を検索してくれないようだし。 Dropbox の仕様をみても、.html を検索してくれそうにないし……ランサムウェアなどの跳梁するセキュリティ受難時代、自分で面倒みるしかないようです。
- Web 上に十分なセキュリティが施され、2TB 程度のストレージがある。
- 同期は LAN に近い感覚のスピードである。
- カスタマイズ可能か、十分柔軟な全文検索機能をもっている。
- 変なアカウントに紐づけされず、アカウントとパスワードなどで(セキュリティキーなどが付加されても可)、多数の環境から使用可能。
- スマホに実装されているような、スマートシンク機能(自機に常に全ファイルを置かなくてもいい)がある。
- Linux からストレスなく使える。
- データが消えるなどの重大事件が発生しないと確信できる。
- 価格が月2000円以内である。
これだけ揃っていたら、オンラインストレージに全面移行したいんですが、書いてみると、残念ながらあと10-20年はそんなことにはならないだろうとほぼ確信できますね。
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