作者: Yukihiro Matsumoto
日時: 2008/3/07(23:42)
まつもと ゆきひろです

In message "Re: [TSpython:1063] Re: Python は教育用言語か?"
    on Fri,  7 Mar 2008 22:30:27 +0900 (JST), kikwai@... (機械伯爵) writes:

| 教育用、って言葉をどう意味に取るかでも微妙ですが……
|
|http://www.amk.ca/python/writing/gvr-interview.html
|(1988年のGuidoへのインタビューから)

1998年ね。

| 「非技術者のために開発されたプログラミング言語であるABC言語」の影響を、
|「一番強く」受けた、と書いたこの文書から、Pythonという言語に対して
|「非技術者(non-technical users)」用と言うニュアンスが読み取れ無いと
|言われれば話は終わりです。

まず、Guidoが大学勤務のエンジニアとしてABCの開発に参加してい
たのは事実です。でも彼が主導したプロジェクトというわけではな
いので、彼自身が教育用言語を作りたいと思っていたとは限らない
ことに注意してください。

ただ、ABCにはいろいろと良い点があって(非技術者にわかりやすい
仕様についてサーベイしたりしたようです)、Guidoはそれに共感し
ていたことも分かります。実際、Pythonの「普通と違う点」の多く
はABCに由来しています。

  * インデントによるブロック
  * 非等価の演算子 <>
  * ネストが深くなる行末のコロン
  * 式でない代入

とはいえ、「教育用言語から影響を受けたこと」と「専門家でなく
てもわかりやすい仕様を指向したこと」は否定しませんが、それを
もってPythonが教育用言語として設計されたと見なしちゃうのは
それこそ「病気みたいなモン」じゃないかと。

| まぁ、単なる私の私感ですけど、「教育用」って言葉はある意味病気みたいな
|モンで、一度それを意識した人間って、何をやっても無意識につなげられるモノ
|をすべて教育用に考えてしまうような傾向があるようです。

その「病気」なのは誰かって話ですよね。Guidoではないようです。

                                まつもと ゆきひろ /:|)