作者: Yukihiro Matsumoto
日時: 2003/2/03(14:02)
まつもと ゆきひろです

In message "[TSpython:304] Re: でも、ある辺の長さに制限がある場合・・・"
    on 03/02/03, Atsuo Ishimoto <ishimoto@...> writes:

|どうでしょうね?教育用言語をルーツとしながら「教育用」を意識していない、
|という推測は不自然に感じます。

「ルーツとしながら」というほどABCの影響が大きいかというとか
なり疑問です。いくつかの点(インデントによるブロック構造とか 
<> という比較演算子とか)以外には、もう影響は残ってないんじゃ
ないですかね。あ、 1 < x < 10 なんかももしかしてABC譲りかも
しれません(未確認)。

あと、「意識していない」というのは「まったく考えていない」と
いうように聞こえますが、私の意図はむしろ「教育のためだけにな
にかを変えることはない」程度です。Pythonは初心者にやさしくあ
ろうとしていると思いますよ、Rubyよりゃずっと。^^;;;

|現在「教育用」にどの程度の比重を置いているのかは分かりませんが、たとえば、
|True division(1/3が0.33333... になるやつ)が導入されたのも、たしかプログ
|ラミング教育プロジェクトのAlice(Squeakになってしまいましたが) で、「1/3
|== 0だと子供に教えにくい」とか言う話が発端になっていたように記憶していま
|す。Pythonの将来にそれなりの影響を与える要素となっているんではないでしょ
|うか。

発端というのはいろんなことから起きるんで、別に構わないんです
が、本当に「教えにくい」んだったら、

  1 / 3 * 3 != 1

のようなニセモノの"true division"よりも有理数を導入すべきじゃ
ないんですかね。

そうでないってことは、きっかけはともかく最終的な動機は別にあっ
たのではないかと推測します。あくまでも推測ですが。確かPEPに
は「/ がfloatを返すとintとfloatが完全に置換可能になるので嬉
しい」という主張があったはずです。それは教育とは関係なく納得
できます。

                                まつもと ゆきひろ /:|)