Iconミニ講座6(辞書参照の別方式)
前回で、ミニ講座は終わったつもりでいたのですが、辞書参照がどうもスッキリ
しませんので、ツラツラ考えていました。(シツコイ!)
特定文字を使った単語をスバヤク検索するのだったら、
・特定文字を使った文字をまとめてテーブルに登録しておけば、
スバヤク検索できる。 ということで、
・辞書の単語の文字列をソートしたもので、インデックスを作っておいて、
同一文字を使用した単語をまとめて、テーブルに登録しておき、
・検索文字列をソートして、テーブルを参照すれば、
・一回の参照で、候補の単語群が見つかる。
と、気が付きました。
例えば、"abcd"と "cdab"と "dcab"という単語があったとして、皆ソートすると、
"abcd"となります。 ソートした "abcd"を インデックス(Iconでは keyと言い
ます。)として、値に ["abcd","cdab","dcab"]と格納しておけば、"abcd"で参照
すれば、文字の配列を変換した場合の候補が、一挙に出てきます。
この方式ですと、不明文字を、1〜2文字入れて 26倍とか、26^2程度に処理が
増えても、ガマンできる時間で処理ができそうです。
↓ソート
辞書 "abcd" ----> テーブル
"cdab" ----> key: "abcd" ->value: ["abcd","cdab","dcab"]
"dcab" ----> ↑
|参照
検索文字 --->ソート---------
という考えで、辞書読込・参照のプログラムを修正してみました。
辞書の登録文字にダブリがあります。setに登録する場合は問題は起きないのですが
テーブルに登録する時に valueでダブルといけないので、チェックを入れてあります。
また keyは、小文字に統一して処理するようにしました。
-----^ DICREF2.ICN ( date:03-08-23 time:11:12 ) ------------<cut here
####################
# 辞書読込・使用文字種毎の分類をした辞書参照の習作。
####################
# dicref2.icn Rev.1.0 2003/08/23 windy 風つかい H.S.
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# Usage dicref2
# english.dicは、スペルチェック用の英単語が順に並んだもの。
# このプログラムのテストでは、DD SOFT SoundMixSpellコンポーネント
# Ver 0.3.0 に 同梱の辞書ファイルを使用。
# This file is in the public domain.
procedure main()
# 辞書読込
dic := "english.dic" # 辞書ファイル名
dir := open(dic) | stop(dic," が見つかりません") # 辞書ファイルオープン
S_dic := set() # 辞書ダブリチェック用 set生成
T_dic := table() # 辞書格納 table生成
write(dic," を読込中です。") # 辞書読み込み
write("開始:",&clock)
n := 0 # 辞書行数カウンタ
while word := read(dir) do { # 辞書を1行ずつ読み込んで、
n +:= 1
if n % 1000 = 0 then writes(&errout,"*") # 読み込み状況表示
if member(S_dic,word) then writes(&errout,"?") # 登録済みならエラー表示
else {
insert(S_dic,word) # setに登録
# 単語を小文字変換しソートしたものをインデックスにして格納
# 同一文字を含む単語は同じインデックスに listの要素として格納される。
# ↓文字列ソート
s_word := csort(map(word)) # 小文字へ変換し、ソートして
# ↑小文字変換
if member(T_dic,s_word) # 辞書テーブルにあるかチェック
then put(T_dic[s_word], word) # あれば、その listに追加
else T_dic[s_word] := [word] # 無ければ、listに入れて登録
}
}
close(dir) # 辞書ファイルクローズ
write(&errout)
write("終了:",&clock)
write(dic," の読込を終わりました。 ",*S_dic," 語ありました。")
write("同一文字で構\成される単語をまとめると、",*T_dic," 種類となります。")
# ↑Shift-JISでは、0x5cを含むので、"\"を補完。
# 辞書参照テスト
L := ["heavy","rain","yveah","niar","noword"] # テストデータ
write("参照テストを開始します。")
write("開始:",&clock)
every s := !L do { # テストデータを順次読み出し
ss := csort(map(s)) # テストデータを、小文字変換し、ソートして
writes(s,": ") # 変換前のデータを書き出し
if member(T_dic,ss) # 辞書にあれば
then {
every writes(" ",!T_dic[ss]) # 辞書内容を書き出す
write()
}
else write("辞書にありません。")
}
write("終了:",&clock)
write("参照テストを終わりました。")
end
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# BIPL(Icon基本ライブラリー)の strings.icnに含まれる 文字のソート procedure
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procedure csort(s) #: lexically ordered characters
local c, s1 # ローカル変数宣言(無くても良い)
s1 := "" # 初期値クリア
every c := !cset(s) do # 引数を cset(文字集合)へ変換し順に取り出す。
every find(c, s) do # 取り出した文字で、引数文字列を検索し、
s1 ||:= c # 見つかる度に、文字を s1に足し込む。
return s1
end
# csetから !で要素を取り出す時には、アルファベット順に取り出せる。
-----$ DICREF2.ICN ( lines:76 words:243 ) ------------------<cut here
dicref2 >fff とすると、こういう結果になります。 辞書読込の際に、加工を
していますので、読込時間が 42秒に増えています。
-----^ FFF ( date:03-08-23 time:11:13 ) --------------------<cut here
english.dic を読込中です。
開始:11:12:25
終了:11:13:07
english.dic の読込を終わりました。 257650 語ありました。
同一文字で構成される単語をまとめると、223704 種類となります。
参照テストを開始します。
開始:11:13:07
heavy: heavy Yahve
rain: airn Arni Iran rain rani
yveah: heavy Yahve
niar: airn Arni Iran rain rani
noword: 辞書にありません。
終了:11:13:07
参照テストを終わりました。
-----$ FFF ( lines:14 words:33 ) ---------------------------<cut here
このプログラムでは、tableの値に listを入れていますが、Iconでは、tableの値に
tableとか、listの値に tableや listとか、割と複雑なデータ構造を比較的簡単に
実現できます。
風つかい(hshinoh@...)
IconのWWWは、 http://www.cs.arizona.edu/icon/
UniconのWWWは、http://unicon.sourceforge.net/index.html
BGM: Battery's not included / 森山威男&杉本喜代志