プログラミング入門者、Python入門者/初心者、Pythonに興味を持った人
長いこと待たれた初の『日本人による日本人のためのPython本』である。内容は簡潔明瞭にして、入門から詳説まで幅広い内容を扱っている。
この本はまた、非常に良質な『プログラミング入門者向けの本』でもある。同様の趣旨の訳本『Pythonで学ぶプログラム作法』もあるが、現状では扱うPythonのバージョンが古い上、よほど意欲的に読む人でないと辛い内容である。それに対しこの本は、本気で『プログラミング素人さん』にお勧めできるという点で、Pythonという言語ジャンルを越えて非常に有用であると思われる。
無論、言語がPythonだからこそ、こういった本が書けた、とも言える。誰でも書けて、ソースコードが読みやすいことを第一に設計され、プロトタイピングやカスタマイズ用として優秀なPythonは、教育用としても最適である(そも、そうした目的も最初からあったようだし………いや、最初はGuidoの手慰みだっけ)。
本書は、そういったPythonの特徴を、最大限に活かしているとも言える。
とはいえ、無論、本書に書ききれなかったことはまだ沢山あるだろう。
ゆえに、本書の隙間を埋めるべく、後発の『日本人の手によるPythonの本』が期待できるとも言える。
そういった、日本でのPython書籍の広がりの中心になる、そう予感させる一冊である。