作者: 閑舎
日時: 2002/6/19(14:55)
 十分準備ができないまま、忙しくなってしまい、最近 XTOP をまともにいじれ
ない状況が続いています。すみません。

 さて、XML と関係があるような、ないような話なのですが、少しは話題を提供
させていただこうということで……。

                    −*−         −*−         −*−

 最近世の中 Web Service(他のコンピュータにあるプログラムやデータをネッ
トワーク経由で利用する仕組み)が騒がれています。

 私の理解によると WSDL(SOAP) + UDDI といった形で、リモートサイトにある
データやソフトウェアにアクセスし、従来の LAN におけるサーバ、クライアン
ト形式でのアプリケーションの運用を、WAN レベルで行おうとするものだと思い
ます。また、この場合、インターフェースの中心的な役割を XML が担うことに
なるのだと思います。

 この時、動的にデータを生成したり、問い合わせたり、応答したり、デザイン
を整えたりという形で、XML をサポートするものとして、XSL とか DOM とか、
JSP とか C# とかがある、という構図だと思います。

 こんな中にあって、1 台 1 台のパソコンの役割は下手をすると、X Server に
対する、X 端末のような、ごく限られた働きをするものとなり、個人データを含
め、何か大切な部分が手元から吸い取られてサーバに集積されていくのではない
か、という不安があり、プログラミングやスクリプトなどの作る楽しみが奪われ
るのではいか、という不安もあります。

 また、一方、ネットワークの連携で問題の解決を図る現代において、スクリプ
ト言語の性質や使い方も変わってくるだろう、と考えます。

 例えば、最近、ウェブログ(ウェブ上のリンクとその批評を記したコンテンツ)
が非常に注目されており、ブロガー、パイタスなどのツールも続々登場、作成に
取り組む個人が激増中だといいます。

 ウェブログにしても、従来の検索エンジンにしても、人気の秘密はネットの案
内役として、ウェブ上のことは何でも掲載されるという、要は Web データへの
アクセスポイントとしての役割が評価されてのことだろうと思います。ウェブロ
グには単なるタイトルと URL に限らず、そこをサーフしたユーザの評価が書き
こまれているというのがいいのでしょう。

 この種の機能を極限まで簡易化すると、要するに膨大なデータベースと、デー
タベースに対する強力で、能率的な問い合わせ、応答の仕組みをどう作るか、と
いうことに帰結します。

 ここで、HTML 形式はデータが極めていい加減に作られている、個人における
データベースの個々のテンプレートまでいかなくても、もう少し整然とした構造
をもったデータが Web 上に必要だという意味があって XML が登場していると理
解しています。データをそうしてある程度定型化されたものとしておけば、後は
ネット上の種々の問い合わせ、応答に柔軟に対応できる仕組みを作ったら終わり、
ということだろうと。

 たぶん、そううまくはいかないだろうというのが私の長年の考えですが、もう
時代はそちらへ向かって走りだしており、後戻りはできません。そうなると、ス
クリプト言語というものは、新しい時代にどこへ向かい、どういう役割を果たせ
ばいいのだろうか? また、こうしたネットワーク上でのデータレベルの連携は、
企業レベルなら右へ倣えで統一形式を作って Web Service で活用できるだろう
けれども、自由な個人個人の連携となると、藤岡さんのニュースサイトの構築で
はないけれども、ネットユーザ相互が、やはりある程度自分の自由を抑えてでも、
コミュニティの形式に合わせた試行を行い、それを核にして、ブラッシュアップ
していく中でしか行いえないのではないか、と思います。

                    −*−         −*−         −*−

 日本人は西洋の権威筋に弱いのではないかと思いますが、Ruby のような世界
に誇れるスクリプト言語も現れているので、世界で通用する、データ形式の共有
とその運用、というような Web Service 上の新たなトライアルも生まれてもい
いのではないか、と思います。最初は小さくてもいい、各サイトが XML とスク
リプトで連携する簡単な仕組みでも作りたいものです……ニュースとなるとちょっ
と疲れるので、用語集とか。

--
本田博通(閑舎)
Hiromichi Honda <raku@...>