夫は若い頃から身なりには無頓着で、結婚してから衣類を調べて見たら まともな服は皆無という状態でした。
なのに、私にはどういうわけか高い服 を買うようにぱっぱっとお金を出してくれるので、これはやばい、釣り合いがとれないわ。と思うようになり、私もいつの間にか着たきりすずめになってしまいました。私が夫の服をたまに買ってくると一応は着て見るのですが、すぐ箪笥のこやし となってしまいました。なぜか・・しばらくしてすぐに訳が分かりました。
新しい服は最初ちくちくして身体になじまないので、 着古したよれよれが大好きなのです。
何時もきたない格好の夫は皆に気の毒がられ、近所の人や親族からはまだきれいなお古の衣類が届くようになりました。それは何度か人が着ているので身体になじみやすいので 喜んで着ていました。よって、ますます私は立場がありませんでしたが、本人はへちゃらなようでした。一番困ったのは下着が古くなったので「これは着たらもう捨ててね」と頼んでいても着たら洗濯機に投げてあるので又洗って、それを又着てともうこれ以上は無いだろうと言う位よれよれの下着を着ていました。これじゃあ交通事故にでもあって病院 に担ぎ込まれたら恥ずかしいと思い、隠れて処分するまで延々と古着を愛しておりました。これは未だに子供達の心に残っているようで「お母さんはお父さんをいつも踏みつけとったよね」 と言います。やはり格好というのは周囲に強烈な印象を与えるものだと思います。
大体夫は顔もいかつく 、体格もがっしりした山男でしたので、何か物を言うとそれだけで怖そうな感じでした。余りに見かけが悪かったのは否めません。又、正直すぎたので損な性格だったようです。私は家では大抵いばっていて、自分が主のような顔をしていたのに、夫はそんなこと意に介さず のように従順で何でも私に賛成してくれました。私は体重こそ夫の半分くらいしかありませんでしたが、態度はでかいと自分でも思っていました。
不思議な事に夫は家でその日あったことを子供のように良くはなしておりました。
私は夫の会社 に明日からでも出勤できるくらいの情報を毎日聞いていたので、あるとき夫の会社の同僚に会ったときあの人はだれだれさんでしょう?と聞くと大抵はピンポンで「どうしてわかったん?」と聞くので毎日これだけ聞いていたらわかるわ、と思っておりました。
時々夫婦そろって 午前1時2時ごろまで延々と台所のテーブルで話をしておりました。それも新婚の頃ではなく、もうかなりの年齢になってからもそれは続いて、翌日何の話をしたか覚えてないけど大抵同じことの繰り返しで、まあよくもあきもせずぐだぐだと話があったものだとあきれてしまいます。本当は夫も私もかなりのおしゃべりで、しゃべってストレスを発散させていたんでしょうね。 似たもの夫婦というけれど、私達夫婦は見かけはかなり違ったけれど、所詮同じ穴のムジナで、繰り返し古着を着た夫を見るにつけ、余り進歩の無い同じ価値観を持った古臭い人間同士だったようです。
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